お掃除情報:裏技・豆知識

ちゃんと知れば変わる「合成界面活性剤」の「怖い」「危ない」イメージ

茂木 和哉

こんにちは!茂木和哉(@motegikazuya)です。

皆さん、「合成界面活性剤」にどんなイメージを持ってますか?

怖いイメージや危険なイメージを抱く方って多い気がします。

もしかして皆さんもそうじゃないですか?

今回は、そんな「合成界面活性剤」のイメージが変わるようなお話をしたいと思います!

「知る」ことでイメージが変わる

そもそも多くの方が感じている合成界面活性剤のネガティブなイメージって、合成界面活性剤のことをちゃんと理解して抱いたイメージでしょうか?

もしかして、本当かどうかよく分からないようなネットの情報に「流されて」そう思っているのではないですか?

実は昔の私がそうでした。

合成界面活性剤には、ネガティブなイメージしかありませんでした。

そしてだいぶ石鹸派よりに考えが変わっていったことがあります。

でも合成界面活性剤のことを知れば知るほど、ネガティブなイメージはなくなっていきました。

むしろしれば知るほど、良い点をたくさん発見することができたんです。

その時思ったのが、「ちゃんと理解してから判断するのって大切だよねー」って事です。

知ることってほんと大切なんです。

ちょっと話がそれますが、人間関係だってそうだと思うんです。

その人の事を知ろうともしないで「嫌い」と思ったり、「苦手なタイプ」を思ったりすることはありませんか?

でも、その人の事を知れば知るほど、嫌いな気持ちが無くなるどころか、実は良い人だった思ったり、逆に好きになったりするパターンってあったりしますよね。

私にとって「合成界面活性剤」がまさにそんな感じでした(笑)

そんな気持ちの歌詞にした私が大好きな曲がコチラです。

ようは合成界面活性剤の知れば知るほどイメージはきっと変わると思うんですよね。

なので私は、ネガティブなイメージを持っている方はぜひ「合成界面活性剤の事をちゃんと知りましょう!」って事を言いたいんです。

ということで、合成界面活性剤を詳しく説明していきます!

4グループに分けられる合成界面活性剤

先ず合成界面活性剤には4つのグループがあり、どんな合成界面活性剤でも必ずその4つのグループのどれかに入ります。

その4つのグループを刺激が強い順に並べると、
1.カチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)
2.アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)
3.両性界面活性剤
4.ノニオン界面活性剤(非イオン界面活性剤)
となります。

まれに界面活性剤の種類によって例外もありますが、まずこう思って間違いありません。

カチオン界面活性剤

1位の最も刺激が強いのがカチオン界面活性剤です。

刺激が強いと言う事は、タンパク質変性作用が強いと言えるわけですが、その特徴を生かして除菌剤や除菌効果のあるハンドソープに使われたりします。

逆性石けんの「オスバン」は、まさにカチオン界面活性剤そのものです。

最近はあまり見かけなくなりましが、公衆トイレの手洗いのところに緑色のハンドソープがよく置かれてましたよね。

それにもカチオン界面活性剤が入っているケースが多いです。

私としては、このカチオン界面活性剤が入ったハンドソープは、肌荒れに繋がりやすいのでオススメしません。

菌を破壊するぐらいのタンパク質変性作用があるわけですから、肌にもそうとう負担がかかります。

肌もタンパク質でできていますからね。

それと柔軟剤の主成分としても使われています。

なので肌トラブルにお困りの方は、できれば柔軟剤を使わない方がいいと思いますよ。

アニオン界面活性剤

2位のアニオン界面活性剤は、洗浄力がとても高い界面活性剤です。

なので汚れを落とすことを目的とする台所洗剤や洗濯洗剤によく使われます。

実は、石鹸もこのグループに入るんです。

家庭用品品質表示法ではルール上、石鹸と合成洗剤は分けることになっています。

でも石鹸は、油脂とアルカリを合成して作る立派な合成界面活性なんですよね。

そして、合成界面活性剤の怖いイメージや危険なイメージは、昔のアニオン界面活性剤のイメージなんです!

と言っても、昔のアニオン界面活性剤全てがそうだったわけではありません。

ごく一部の種類だけです。

アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム

それが、「アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム」と言われる種類です。

「ABS」とも呼んだりします。

「アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム」については、グーグルで検索すると情報がいろいろ出てくるので、詳しい説明は割愛しますが、いずれにしてもとにかく怖くて危険な界面活性剤です。

でも危険性が問題視されたことにより、かなり前に使用禁止になってます。

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム

そして、ABSを改良し代わりに登場したのが「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム」と言う界面活性剤です。

LASと呼んだりもします。

これもABSよりはだいぶ良いのですが、このLASも時代が進むにつれて問題視されるようにりました。

確かに刺激が強いんですよね。

それとLASは、生分解性が悪いと言う事でも叩かれてきました。

しかし使用禁止とはならず、使われ続けています。

さすがに一般向けの台所洗剤にはほどんど使われなくなりましたが、業務用では台所洗剤にもはよく使われます。

食器洗いのバイトをしている方が、とっても手荒れしやすいのはそれでなんです。

一般向けでも、直接肌に触れる事がない洗濯洗剤には今でも使われているものがあります。

もし肌の弱い方や、まだ肌機能が未熟な赤ちゃんの衣類をLASが入っている洗剤で洗濯する場合は、洗剤残りにはくれぐれも注意してくださいね。

特に溶け残りの心配がある冬場の粉末洗剤は要注意ですし、液体洗剤だとしてもすすぎの設定ではなく1回でなく、2回された方がいいと思います。

というよりも、肌の弱い方や赤ちゃんにはそもそもLASが入った洗濯洗剤は使うべきではないかもしれませんね。

でもそんなLASにも良い点があります。

それが洗浄力の高さです。

油汚れが、とにかくよく落ちるんですよね。

スポーツや外仕事などをされていて衣類に皮脂汚れがつきやすい方や、レストランで働いていて衣類に油汚れがつきやすい方なら、汚れ落ち重視でLAS入り洗剤を選ばれるのは選択として全然アリだと思います。

さらにLASは原料価格が安いんです。

だから洗浄力とコストが重視される業務用では、台所洗剤でも使われるんでしょうね。

アルキル硫酸エステルナトリウム

そんな、LASに代わりに使われるようになったのが、「アルキル硫酸エステルナトリウム」です。

シャンプーやボディソープだと「ラウリル硫酸ナトリウム」と表記されます。

これも刺激が強いですよね。

さすがにLASがシャンプーやボディソープに入っていることはないのですが、ラウリル硫酸ナトリウムは、いまでも入っていることがあります。

肌荒れしやすい方は、注意してくださいね。

もちろん台所洗剤、洗濯洗剤にも入ってます。

このラウリル硫酸ナトリウムは、一昔前から問題視され、現在進行形で叩かれている界面活性剤です。

アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム

なので代わりに登場したのが「アルキル硫酸エステルナトリウム」です。

化粧品の表記は、「ラウレス硫酸ナトリウム」です。

これが今旬のアニオン界面活性剤になるんでしょうね。

刺激の強いグループのアニオン界面活性剤の中では、かなり刺激が低めの界面活性剤です。

両性界面活性剤

3位は「両性界面活性剤」です。

2位のアニオン界面活性剤と3位の両性界面活性剤の間は、かなりの差があると思ってください。

両性界面活性剤は、安全性がかなり高く刺激も低いグループです。

正直、石鹸より肌に対して刺激が低いぐらいです。

私も安全性や低刺激を重視した洗剤を作る時には、よくこの両性界面活性剤を使ったりします。

よく使われる種類は、
・アルキルべダイン
・アミドプロピルベダイン
・アルキルアミンオキシド
などです。

ノニオン界面活性剤

4位がノニオン界面活性剤です。

界面活性剤のグループの中で、もっとも刺激が少なく安全性の高いのがノニオン界面活性剤です。

どのぐらい安全性が高いのかと言うと、マーガリン、バター、マヨネーズ、アイスクリームなど食品の乳化剤として使われているものもあるぐらいです。

間違いなく石鹸より肌に対しての刺激ははるかに低いです。

私が肌が弱い方の肌着や、まだ肌機能が未熟な赤ちゃんの服の洗濯に、おしゃれ着洗いの洗剤をオススメするのは、おしゃれ着洗い用の洗濯洗剤の主成分が、ノニオン界面活性剤だからです。

よく使われているノニオン界面活性剤は、「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」という種類です。

以上が合成界面活性剤の4つのグループとなります。

合成界面活性剤の「働き」について詳しく知りたい方は、コチラの記事をどうぞ。

最後に

いかがでしたでしょうか?

私は合成界面活性剤の深く知る事によって、
・合成界面界面活性剤にも種類がたくさんあって種類によって安全度が全然違う事。
・合成界面活性剤の怖いイメージは、ずいぶん昔のごく一部の合成界面活性剤のイメージだった事。
・現在主に使われている合成界面活性剤は、昔のものと比べだいぶ安全なものになっている事。
・危険度が高めの合成界面活性剤には、「強い洗浄力」というメリットがある事。
・目的に合わせて合成界面活性剤(石鹸も含めて)を使い分けていくのが一番大事な事。
・昔と違って下水道普及率が進んだ今、合成界面活性剤の環境負荷を気にする必要はほぼない事。
を学びました。

子供の事や環境の事を考えると、どうしても合成界面活性剤の悪いイメージや怖い情報を信じてしまいがちです。

しかし知れば知るほど、そのネガティブイメージはなくなるはずです。

ぜひ合成界面活性剤の事をちゃんと知ったうえで、合成界面活性剤を使うか使わないか、使うとしたらどんな合成界面活性剤が入ったものを使うかを自分で決めて欲しいんです。

私は合成界面活性剤派でも石鹸やナチュラル派でもありません。

目的に合った方を使う派なんです!

だってそれが一番、自分の幸せ、家族の幸せに繋がる選び方だから!

ABOUT ME
茂木和哉
茂木和哉
汚れ落とし研究家
1975年秋田県生まれ。20歳で温泉浴場清掃をバイトで経験。21歳で工業薬品や業務用洗剤の販売会社に就職。30歳で洗剤メーカーに転職し、1年後の秋田で独立。 独学で掃除と洗剤作りを学び、秋田からパソコン1つで情報発信を始め、自分の名前をつけた代表作「茂木和哉」を大ヒットさせる。現在ではシリーズ展開させ全国のお店に並ぶまでに。 汚れ落とし人生で得たノウハウを惜しみなく伝えるYouTubeチャンネル「茂木流掃除講座」は、チャンネル登録数30万を超える。
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