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実は重要な酸性洗浄剤の界面活性剤選び

茂木 和哉

酸性洗浄剤の用途は、主にスケール(水あか)汚れの洗浄です。

なので、酸性洗浄剤に配合する界面活性剤選びは、それほど重要なものではないと思われがちです。

なぜなら、界面活性剤を洗浄剤として考えた場合は洗浄可能な汚れは、皮脂汚れのみだからです。

酸性洗浄剤の用途とは関係ないのです。

しかし私の場合は、酸性洗浄剤に界面活性剤を使用する場合でも、開発する時は、良く考え何度もテストして選んでいます。

では、なぜ中性洗剤やアルカリ洗剤ほど界面活性剤の働きを必要としない酸性洗浄剤の界面活活性剤選びに私がこだわるのか?

その理由は3つあります。

先ず1つ目は、使いやすくするためです。

例えば、
泡立ちを良くする。
泡立ちを抑える。
泡切れを良くする。
粘度をつける。
などは、界面活性剤でどうにかできます。

この様に、洗浄目的でなく使いやすさをアップするために界面活性剤を選んでいるのです。

2つ目は、作業効率をUPする目的です。

例えば、浴場の水あかの洗浄を目的とした酸性洗浄剤の場合、酸性洗浄剤を使用する前に、アルカリ洗浄剤やバスクリーナーで皮脂汚れを先に落とします。

その後で、酸性洗浄剤で水あか汚れを落とした方が、頑固な水あか汚れを簡単に、そしてキレイに落とす事ができます。

その理由は、水あか汚れを覆うように皮脂汚れが張り付いているからです。

皮脂汚れは、酸性洗浄剤ではなかなかキレイに落とせません。

なぜなら、皮脂汚れは酸性なので、同じ酸性の洗浄剤では、中和作用が働かないからです。

なので、中和作用が働くアルカリ洗浄剤や皮脂汚れを分解できる、界面活性剤が主成分の中性洗剤(バスクリーナー)を先に使うのが基本となります。

しかし、酸性洗浄剤へ使用する界面活性剤が、皮脂汚れに洗浄力が高いものであるならば水あかと皮脂汚れを同時に事が可能です。

それができれば作業時間と労力は大幅にカットすることができます。

そんな一石二鳥な洗剤にしたいが為に、私は少しでも洗浄力が高い界面活性剤を選ぼうとしているわけです。

3つ目が、安全対策です。

危険度が高い酸性洗浄剤を、少しでも安全に使っていただく為の1つの対策として粘度を上げる方法を、私はよく使います。

粘度を上げることで、液ハネ、液トビを抑え安全に洗浄作業が進められるからです。

配合成分の関係上、粘度を上げにくい酸性洗浄剤もあるのですが、できるものは粘度を上げるよう努力をします。

その増粘させる方法に使用するのが、界面活性剤なのです。

また、界面活性剤は泡とヌルツキをつくります。

その泡とヌルツキは、洗浄剤のすすぎ残りの目安となり、危険度が高い酸性洗浄剤のすすぎ残りを防いでくれます。

この3つの事から、私は、酸性洗浄剤であっても界面活性剤選びをこだわっているのです!

ABOUT ME
茂木和哉
茂木和哉
汚れ落とし研究家
1975年秋田県生まれ。20歳で温泉浴場清掃をバイトで経験。21歳で工業薬品や業務用洗剤の販売会社に就職。30歳で洗剤メーカーに転職し、1年後の秋田で独立。 独学で掃除と洗剤作りを学び、秋田からパソコン1つで情報発信を始め、自分の名前をつけた代表作「茂木和哉」を大ヒットさせる。現在ではシリーズ展開させ全国のお店に並ぶまでに。 汚れ落とし人生で得たノウハウを惜しみなく伝えるYouTubeチャンネル「茂木流掃除講座」は、チャンネル登録数30万を超える。
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