【徹底解説】塩素系カビ取り洗浄剤「カビキラー」のを分かりやすく深掘り解説!
今回はジョンソンのカビキラーの解説をしていきます。
これまでいろんな洗剤の解説をしてきましたが、カビキラーについては今まで1度も解説したことはありませんでした。
というのも、あまりにもこのカビキラー有名ですし使ってる方もたくさんいるので、わざわざする必要がないのかなと思っていました。
ただ今回は、あえてこのカビキラーの解説をしていきたいなと思います。
深掘りして解説していきますのでマニアックな内容になると思います。
- カビキラーのボトルについて
- カビキラーのポイント
- 塩素剤の種類について
ジョンソンのカビキラーの深堀解説を動画で見たい場合は、こちらの茂木和哉(@motegikazuya)さんのYouTube動画へどうぞ!
カビキラーのボトルをチェック
ボトル①表面のシール
ではまず始めにカビキラーのボトルからチェックしていきます。
表面のシールから見ていきましょう。
「汚れのように見えても、実はそれカビ」と書かれています。
これはよく質問を頂きますが、本当に汚れではなくカビなんです。
お風呂の床の黒ずみ汚れをカビだと思ってない方は、結構いるのではないでしょうか。
お風呂の床につく黒い汚れの原因はほとんどがカビです。
そのため、カビキラーを使うと簡単に落とせたりするので、困っている場合は試してみるのがオススメです。
「売上NO.1」とも書かれています。
ただ、2017年9月から2022年8月までということでした。
その期間についてはNO.1ということですね!
それ以外の期間はどうなのか、例えば22年だけだったら、21年だったらどうなのかというところも気になります。
というのも、このカビキラーにはとても強力なライバルがいるためです。
カビキラーのライバルについても、この後でお話していきます。
ボトル②メインの表面
1番メインのボトルの部分を見ていきます。
キャッチコピーが「強力浸透成分配合」「5分で根に効く」となっています。
「強力浸透成分」が何なのかというのが、気になるところです。
ボトル③裏面
ということで、裏面を見ていきます。
塩素系なので注意を促すような文言がずらっと並んでいます。
赤文字で強調しているところもたくさんありますね。
1番気になるのは成分です。
ここに書かれている成分が全てではないため、成分は後で公式のサイトを見て確認していきます。
公式のサイトにはさらに詳しく書かれているので、成分についてはそちらをチェックします。
ポイント①メリットについて
カビキラーのポイントを大きくまとめると、以下の3点です。
- メリットとデメリット
- 強力なライバル
- 次亜塩素酸ナトリウム
それぞれ詳しく解説していきます。
パッと思いつくメリット
まずはメリットについて、話していきます。
まずパッと思いつくメリットは、頑固な黒カビをすっきり落とすことができるということです。
他のお風呂用の洗剤だとなかなか黒カビを残さず落とすということが難しいんですよね…
しかし、それができるというところが1番イメージがつきやすいメリットです。
カビキラーはとにかく安い
ただ、1番だと思うメリットは、成分やスプレーボトルを考えると300円ぐらいで買えるものではないという点です。
ただのボトルだったら容器代はそれほどかかりませんが、スプレーのトリガー部分に塩素用の故障しにくいものを使っています。
それだけコストも高くなり、ボトルだけでも結構値段が高くなると思います。
また、中身の成分もそこまでシンプルなものではありません。
そのようなものが300円ぐらいで買えてしまいます。
いつも300円ぐらいで買っているため安いという実感はないと思いますが、小さなメーカーが同じようなものを作るとしたら到底300円で作ることはできません。
1000円ぐらいでなければ、割に合わないという感じです。
安くできる理由①自社で作っている
なぜそのように安くできるのかというと、1つの理由としてトリガーや容器を自社で作っているのではないかと思います。
小さなメーカーだと容器メーカーから仕入れるという形になります。
決まったものがあるためデザイン性で選ぶことが出来ず、送料も発生します。
トリガー付きのスプレーボトルはとにかく高いですが、自分たちで作っているとなるとかなりコストカットできます。
また、商品のシールに「売上NO.1」と書かれていました。
カビキラーは、カビ取り剤の市場を大きく抑えているのでメーカーでたくさん製造できるのも、安さの理由だと思います。
多く作れば作るほど、コストは低くなりますからね!
もちろんそれに伴って物流コストも安く済みますし、消費者が住んでいる近くでも購入できるということも大きなメリットです。
いくら安いからといっても近くで売っていいなければ、ネットで買わなければならず、300円ぐらいであれば送料もかかってしまいますからね。
安くできる理由②カビキラーの歴史
カビキラーが300円ほどど安くできるのは、カビキラーの歴史が繋がっています。
カビキラーのメーカーのジョンソンはアメリカのメーカーで、日本にやってきたのが高度成長期真っ只中の1962年でした。
そして、カビキラーを発売したのが1982年ということで、それからしばらくの間、カビ取り剤といえばカビキラーしかなかったという時代が長く続きます。
そこで市場を広げていって大きくしていったというところも、安く購入できるところに繋がっています。
ポイント②デメリットについて
デメリット①塩素が飛んでいく
デメリットについても、話していきます。
まず1つ目のデメリットは、塩素がジワジワ飛んでいくということです。
これはカビキラーに限った話ではなく、塩素系洗浄剤や漂白剤全般に言えることです。
1番効果があるのは、工場で作ってすぐです。
それから時間が経てば経つほど、効きが悪くなります。
そのため、流行っていない店で買うよりも、流行っている店で買った方が塩素分が十分入ってる可能性が高いです。
また、小さいサイズのものを買ってすぐに使い切った方が効きがいい状態で使えます。
どのぐらい使われるかの頻度にも関係してきますが、そんなに使わないのに大きな容量のものを買うと、後半で薄くなって効きが悪くなってしまう可能性が考えられます。
安いからといって大きなサイズのものを買うよりも、小さなサイズがオススメです。
まとめ買いも良くないです。
例えば、5本まとめて買ってきて5本目を使う頃には購入して2年経っていたとなると、塩素濃度が薄くほぼ水のような状態ということも考えられます。
早く使い切れる量をこまめに買った方が、節約に繋がるということが考えられます。
注意点としては、塩素は熱と光に弱いので、暑いところや日差しが直接当たるところは避けた方がいいということです。
デメリット②個人で浄化槽を所有している場合は注意
もう1つ、個人で浄化槽を持っている場合は注意が必要というデメリットがあります。
これもカビキラーに限った話ではなく、塩素系洗浄剤や漂白剤全般にいえることです。
個人で浄化槽を持っていて汚水処理しているという場合、家のすぐ近くに浄化槽があるということになります。
いくら飛びやすい次亜塩素酸ナトリウムでも、そこそこ濃い濃度の状態で流れ込むと、浄化槽で飼っているバクテリアが死んでしまう恐れがあります。
浄化槽で汚水処理する仕組みは、バクテリアに汚水を食べさせてキレイにして放流しています。
そこに塩素分が含まれた汚水が入ってしまうと、バクテリアが死んでしまって大変なことになります。
しかし、農業集落排水とか下水処理場に流れていくという場合は、通常の使い方であれば問題ありません。
ポイント③強力なライバルの登場
カビキラーを発売したのが1982年から、しばらくカビ取り剤市場を大きく抑えていたカビキラーですが、強力なライバルが現れます。
それが花王の「強力カビハイター」です。
花王がカビ取り剤を作って売り始めたのが1998年のことでしたが、カビキラーが発売されてからなんと16年後のことでした。
その後、「強力カビハイター」が2007年に誕生します。
当然、ライバルが登場すると価格競争が起こるので、なおさら安く購入できるようになりました。
以前にカビキラーと強力カビハイターのどちら派かというアンケートを、2385人に実施したことがありましたが、カビキラー派が44%、強力カビハイター派が56%という結果になりました。
カビキラーと強力カビハイターの比較記事は、こちらからどうぞ!
ポイント④成分について
ではさらにカビキラーの成分を、カビキラーの公式サイトで見ていきましょう。
カビキラーの成分について、簡単に解説していきます。
成分①2つのアルカリ剤
カビキラーは、次亜塩素酸塩が主成分の塩素剤です。
次亜塩素酸ナトリウム=次亜塩素酸塩と思ってもらって大丈夫です。
次亜塩素酸塩は未開封の状態でも飛んでいくくらい不安定なので、それを安定させるために安定化剤を入れていると思います。
その次の水酸化ナトリウムは、強いアルカリ剤です。
次亜塩素酸ナトリウム自体がアルカリ性ですが、水酸化ナトリウムを入れることでさらにアルカリ度を強めています。
もちろん洗浄力が高まりますが、アルカリ度を高めることで安定性が増すと言われています。
成分②3つの界面活性剤
次がアルキルアミンオキシドで、両性界面活性剤です。
次亜塩素酸ナトリウムとアルキルアミンオキシドの組み合わせは、非常に多いです。
ライバルの「強力カビハイター」もそうですし、それ以外の塩素系の洗浄剤でも非常に多い組み合わせです。
さらに、界面活性剤を2つ入れています。
これはボトルに記載されていない部分です。
アルキルスルホン酸ナトリウムとアルキル硫酸エステルナトリウムは、アニオン界面活性剤で洗浄力が高めで、皮脂汚れに対しての洗浄力が高いです。
成分まとめ
また、香料も入っています。
香料を入れてる目的は、塩素臭を感じさせないようにする目的が強いのかもしれません。
カビキラーからいい香りがするってことではないですもんね。
ボトルの表面には「強力浸透成分配合」と書かれていましたが、この成分の中から考えると、やはり界面活性剤を3つ入れているので、その組み合わせや配合量というところで浸透力を高めているのかなと思います。
界面活性剤には、浸透力を高める働きがあります。
界面活性剤を3つも入れていて、安定化剤や香料も配合されているということで、中身についてもそんなシンプルなものでなく、研究して複数の種類を入れているということになります。
なのでそう考えると1本300円で、近くの店で買えるというのは本当に大きなメリットだと思います。
ポイント⑤次亜塩素酸ナトリウムについて
次亜塩素酸ナトリウムとは
では最後に、次亜塩素酸ナトリウムについてです。
塩素系のものの主成分は、ほとんどが次亜塩素酸ナトリウムです。
例えばパイプ用だったり白物漂白用だったりと、色々な塩素系がありますよね。
それらも全部、次亜塩素酸ナトリウムが主成分です。
洗浄剤や漂白剤だけでなく、赤ちゃんの哺乳瓶を消毒する液体タイプの消毒剤なども、主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。
他にも温泉で循環してるようなところや、同じような仕組みのプールでも次亜塩素酸ナトリウムが使われることがあります。
次亜塩素酸ナトリウムがよく使われる理由①液体
塩素剤の主成分としてほとんど次亜塩素酸ナトリウムが使われていますが、塩素剤というのは次亜塩酸ナトリウムだけではありません。
なのに次亜塩酸ナトリウムがよく使われているのは、まず液体という点が大きいです。
漂白剤や洗浄剤にして簡単に使うということを考えれば、液体が使いやすいです。
クエン酸や重曹をイメージすると分かりやすいと思いますが、計量して溶かさないといけないとなると面倒ですよね。
そういった部分で、液体はとても使いやすいです。
次亜塩素酸ナトリウムがよく使われる理由②漂白力が高い
さらに次亜塩酸ナトリウムは、漂白力が高いです。
例えば、「黒木真白」という塩素系洗浄剤がありますが、主成分がジクロロイソシアヌル酸ナトリウムという、次亜塩酸ナトリウムとは少し違った有機系の塩素剤です。
次亜塩酸ナトリウムは無機系の塩素剤で、除菌効果が非常に強くて簡単にカビをやっつけることができます。
黒カビの場合は黒い色素があるため、黒い色素をしっかり漂白しないと、洗い上がりがキレイになりません。
そこの差を比べると、次亜塩酸ナトリウムの方が漂白力が高いです。
そういった漂白力の高さが、漂白剤として一般向けに使われる理由の1つだと考えられます。
次亜塩素酸ナトリウムがよく使われる理由③安い
また、次亜塩酸ナトリウムは安いという点もあります。
原料として出回っている次亜塩素酸ナトリウムは12%と6%のものがあり、どっちが安いかというと12%の方が濃度が濃いのに安いです。
これはなぜかというと、次亜塩酸ナトリウムよりも精製水の方が高いからという理由と、12%の方がたくさん作られているという部分からだと思います。
12%の次亜塩素酸ナトリウムは、20㎏入りで2000円程で購入できます。
そういった安いものを購入して塩素系洗浄剤や漂白剤に入れて使っていますが、大体どのぐらいの濃度に合わせているのかというと、スプレータイプの塩素系の場合は2.5~3%ぐらいです。
そう考えると中身もかなり安く作れます。
【マニアックな話】塩素剤の種類について
塩素剤①次亜塩素酸カルシウムという固形の塩素剤
最後に少しマニアックになってしまいますが、塩素剤の種類について簡単に話していきます。
先ほど、次亜塩素酸ナトリウムは無機系の塩素剤であるという話をしましたが、同じ無機系で固形や顆粒、パウダーのものがあります。
それが次亜塩素酸カルシウムと言われるものです。
これも食品工場で使ったり下水処理の最終放流の滅菌剤として使ったりしています。
もちろんプールや温泉、公衆浴場に使うこともあります。
結構用途が似ていますが、次亜塩素酸カルシウムは固形という特徴があります。
固形は水に溶かさない限り安定性が高いという特徴があり、濃度が高いです。
次亜塩素酸カルシウムの場合は、60~70%あったりします。
次亜塩素酸ナトリウムの場合は6%や12%という話をしましたが、それと比べるとかなり高いですね。
そして、なんと液性が中性です。
ただし、カルシウム分に塩素剤を混ぜているので、溶けるとカルシウムが残ってしまって、詰まったり悪く働くことがあります。
塩素剤②その他の固形の塩素剤
カルシウムが残るのを防ぐため、完全に溶けきる固形の塩素剤もあります。
それが先ほどお伝えした、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムという塩素剤です。
これも液性が中性で、塩素濃度も60%と高濃度です。
そして溶けやすく残さずすっきり溶かします。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは、特にプールで使われているというケースが多いです。
ただし、早く溶けてしまうのも良くない場合もあります。
少しずつ溶かして使いたいというケースもあるので、その場合はイソシアヌル酸というものがあります。
イソシアヌル酸は溶けにくい固形の塩素剤で、濃度は90%ぐらいあります。
これが1番使われているのは、おそらくプールだと思います。
汚水処理の最終の滅菌として、食品工場や集落排水で使われることもあります。
塩素剤の種類まとめ
有機系と無機系で塩素剤を分けると、以下のようになります。
- 無機系:次亜塩酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム
- 有機系:ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、イソシアヌル酸
有機系の固形は一般向けの場合、排水パイプ用の洗浄剤やお風呂の漬け置き洗いのような用途として使われることがあります。
とはいえ、ほとんど一般向けは次亜塩素酸ナトリウムが使われているということになります。
まとめ
今回は、ジョンソンのカビキラーを深堀解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
カビキラーのポイントを大きくまとめると、以下の3点です。
- メリットとデメリット
- 強力なライバル
- 次亜塩素酸ナトリウム
マニアックな内容もありましたが、最後まで見ていただきありがとうございました!