塩素殺菌が効きにくいアルカリ温泉で効果的に塩素管理をする方法

茂木 和哉

こんにちは!茂木和哉(@motegikazuya)です。

公衆浴場業の皆さま、浴槽水の塩素管理はうまくいってますか?

季節や入浴者数など様々な条件で、上がったり下がったりする残留塩素濃度を0.4〜1.0mg/Lの間で保ちつつ、ずっとキープし続けないといけないのってかなりの難しい事だと思います。

さらにアルカリ温泉の場合は、余計に難しくなります。

という事で今回は、塩素殺菌が効きにくいアルカリ温泉で効果的に塩素管理をする方法についてお話ししたいと思います!

一般的に塩素管理に使われるのが「次亜塩素酸ナトリウム」

浴槽水を循環して使用している浴場施設は必ず塩素管理が必要となります。

その塩素管理に、最も多く使われる塩素剤が、次亜塩素酸ナトリウムです。

次亜塩素酸ナトリウムの一番の魅力は安価なところではないでしょうか?

一般的に塩素管理に使われる塩素濃度が12%のものなら、20kgで2,000円ぐらいで購入できますからね。

また、容器をリサイクルできるポリ缶タイプやまとめ買いすればさらに安く買えるし、ゴミもなくなります。

しかし、この次亜塩素酸ナトリウムでの塩素管理には、大きな問題点があります。

それは、次亜塩素酸ナトリウムのpH(アルカリ度)が高いと言うことなんです。

では、なぜpHが高いと問題なのか?

それは、浴槽水の入れ替えをせずに次亜塩素酸ナトリウムを投入し続けると浴槽水のpHが上がり、塩素の効きが悪くなるからです。

実は、浴槽水のpHが高ければ高いほど塩素の殺菌効果が落ちるんです。

アルカリ温泉ので塩素管理が難しい理由

なのでただでも効果が低いアルカリ温泉の塩素管理を次亜塩素酸ナトリウムで行ったのでは、ますます浴槽水のpHを下げる事になり、浴槽水の衛生的に保つことが困難になります。

通常の残留塩素濃度では効果が低い。

残留塩素濃度を高くする。

さらにpHが上がる。

となるので悪循環なんです。

さらに残留塩素濃度を高くすればするほど、循環ポンプや濾過機、配管などの金属素材がサビてしまうリスクが高まりますし、塩素臭もキツくなりお客様からのクレームに繋がる可能性も高まります。

でもアルカリ性の塩素剤を使わなければが、このような心配はしなくてもよくなりますよね?

例えば中性の塩素剤ならなpHを下げるようなことはありませんし、もし酸性の塩素剤があるのなら、それを使えばpHが下がるのを抑えるだけでなく、いくらから上げることができるので殺菌効果が高まりますよね?

そうなんです、アルカリ温泉の塩素管理には、酸性の塩素剤が適しているんです。

「でも酸性の塩素剤なんてあるの?」

そう思われた公衆浴場業の皆さん、実はあるんです。

それがが「トリクロロイソシアヌル酸」と言われる塩素剤です。

トリクロロイソシアン酸で塩素管理をするメリット

繰り返しになりますが、トリクロロイソシアヌル酸は「酸性」です。

なのでアルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムのように、塩素投入によって浴槽水のpHを上げることはありません。

また、顆粒タイプなので取扱が簡単です。

次亜塩素酸ナトリウムのように、うっかり服につけてしまって服を脱色させてしまうような事はありませんし、床にこぼしたとしてもホウキとチリトリで簡単に掃除することができます。

「でも顆粒だとポンプ注入ができなからなんか面倒くさそう…」

そう思われた公衆浴場業の皆さん、そこも心配しなくて大丈夫です。

だって専用の「溶解機」があるんです。

溶解機を使えば、次亜塩素酸ナトリウムの自動薬注のように簡単に塩素管理ができます。

溶解機には、水圧を利用し塩素剤を溶かして注入するタイプがあり、それなら安く買えますし、次亜塩素酸ナトリウムに使う薬注ポンプのように電気を使わなくて大丈夫なので電機代をカットできます。

また作りがシンプルなので、故障やトラブルも少ないんです。

薬注ポンプだと空気が入ったり潮が詰まって注入できなくなったり、パーツが劣化して交換が必要なったりして大変ですが、溶解機はそのようなことが一切ありません。

コストについてもご安心ください。

確かに塩素剤そのものの価格は、次亜塩素酸ナトリウムと比べかなり高いのですが、でも塩素濃度が高いので使用量はかなり少なくて済みます。

なのでちゃんと塩素濃度を調整して使っていればランニングコストは、次亜塩素酸ナトリウムと同じぐらいになると私は思います。

なぜ塩素はアルカリ側除菌効果が低くなるのか?

ではそもそもなぜ塩素は、アルカリ側で除菌効果が低くなり酸側で効果が高くなるのか?

それは、塩素にはアルカリ環境下では安定し酸性環境下では酸化が促進される性質があるからです。

だから、次亜塩素酸ナトリウムや安定化二酸化塩素は、製品自体を安定させるためにアルカリ性にしているのです。

でも完璧に安定させる事はできませんけどね。

なので塩素系漂白剤やカビ取りスプレーなどは、少しずつ塩素分が飛んでしまうんです。

最後に

いかがでしたでしょうか?

もし、トリクロロイソシアヌル酸での塩素管理に興味を持たれたようでしたら、今塩素剤を購入されている業者さんに相談されてみるか、お近くの水処理屋さんや工業薬品の販売店さんに問い合わせしてみてください。

ちなみに、トリクロロイソシアヌル酸は、「黒木真白」の成分ジクロロイロシアヌル酸ナトリウムと兄弟のようなもので、どちらも有機系の塩素剤です。

ABOUT ME
茂木和哉
茂木和哉
汚れ落とし研究家
1975年秋田県生まれ。20歳で温泉浴場清掃をバイトで経験。21歳で工業薬品や業務用洗剤の販売会社に就職。30歳で洗剤メーカーに転職し、1年後の秋田で独立。 独学で掃除と洗剤作りを学び、秋田からパソコン1つで情報発信を始め、自分の名前をつけた代表作「茂木和哉」を大ヒットさせる。現在ではシリーズ展開させ全国のお店に並ぶまでに。 汚れ落とし人生で得たノウハウを惜しみなく伝えるYouTubeチャンネル「茂木流掃除講座」は、チャンネル登録数30万を超える。
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