循環式浴槽に必要な循環濾過装置をキレイに保つ管理法
こんにちは!茂木和哉(@motegikazuya)です。
循環式浴槽をお使いの公衆浴場業の皆さん、「濾過装置」の管理はちゃんとされてますか?
お風呂を衛生的に保つためには、浴槽水だけでなく配管や熱交換器、循環ポンプ、そして濾過掃除など、浴槽水が通る設備の管理までしなければなりません。
中でも浴槽水をキレイにするためには絶対必要なのが「濾過装置」の管理です。
ということで今回は、濾過装置をキレイに保つための管理方法についてお話ししたいと思います。
「砂濾過」の基本的な管理
濾過装置にも色んなタイプがあるのですが、循環式浴槽でおそらく最も多いのが「砂濾過」というタイプだと思います。
その名の通り、砂を使って浴槽水を濾してキレイにする方法です。
キレイに濾すために濾過装置の中は、下から大き目の砂利、中くらいの砂利、小さ目の砂利、そして砂と上の層へ上がるにつれて砂の粒子を細かくさせていきます。
そしてその濾過装置の上から浴槽水が入り下から出ることで、汚れが砂でひっかかりキレイになるというわけです。
なので一番上の砂の上には、ゴミがたくさん引っかかるので、基本的には毎日「逆洗」という作業をしなければいけません。
逆洗とは、通常運転とは逆に下から浴槽水を入れ上から出し、お風呂には戻さず排水させる作業です。
しかし浴槽水を濾過したとしても、雑菌だけは砂に引っかけることができます。
濾過装置を使っている浴槽は、浴槽水を長く入れ替えず数日使用するわけですから雑菌がとても繁殖しやすい環境です。
なので雑菌を消毒しないといけないのですが、その消毒に使うのが「塩素剤」です。
循環式浴槽は塩素管理が必要
ろ過装置を使用する以上は、必ず塩素剤を入れなければいけません。
これは公衆浴場法で決まっている事で、浴槽水の塩素濃度をどのぐらいに設定したらいいかまでちゃんとルールで決まっています。
ちなみに、「かけ流し」の浴槽は、新しいお湯が次から次えと浴槽に入ってきますから塩素を入れる必要はありません。
循環浴槽で最も多く使われるのが「次亜塩素酸ナトリウム」を言われる塩素剤です。
公衆浴場やプールの消毒以外に、水道水の消毒や塩素系漂白剤、カビ取り剤、哺乳瓶殺菌剤として使われているとても身近な塩素剤です。
そんな次亜塩素酸ナトリウムですが、どうやって浴槽水に入れるかというと、小さなポンプを使い循環ろ過ポンプと連動させて配管から注入させます。
浴槽水をちゃんと塩素管理できていれば、濾過装置に入っている砂も消毒できます。
「濾過砂」のチェックが必要
しかし、砂は半永久的に使用できるものではありません。
逆洗で飛ばし流され少なくなったり、長く使用すると砂が砕かれ小さくなり、浴槽水の通りが悪くなり、濾過装置本体の圧力が高くなり故障のリスクが高またりするので、補充したち交換したりしなければいけません。
逆洗で少なくなる分には補充すれば大丈夫ですが、圧力が高くなるぐらいまで砂が小さくなった場合は交換が必要です。
正常時の圧力を圧力計にマジックで印をつけておくと圧力の変化がわかりやすくなりますよ。
圧力計を確認していれば濾過装置を開けて砂の状態を確認しなくても、砂が砕かれて小さくなったのかある程度わかります。
しかし、温泉水だと圧力計を見ているだけでは不十分です。
なぜかというと、温泉スケールの影響で砂がガチガチに固まることがあるからです。
もちろん砂が固まるわけなので圧力が上がる場合もありますが、砂が固まったことで大きな隙間ができ逆に圧がかからない場合もあるんです。
なので泉質にもよりますが、温泉の場合は定期的にろ過装置を開けて、砂の状態を確認した方がいいんですよね。
砂が固まってしまうと業者でも交換するのが一苦労です。
酸性洗浄剤で簡単に分解できればそんなに大変ではないのですが、分解できない場合は濾過装置本体を傷めない様に気をつけながら、叩いて崩しながら取り除くしかないんです。
なのでもし過去に砂が固まったことのある施設は、「スケール分散剤」を投入することをオススメします。
「スケール分散剤」で温泉のお困りごとを解決
スケール防止剤とは、温泉成分が同士が結びついて「水垢」にならないように、結びつきをこばませる働きするものです。
砂と砂くっついて固まる原因も水垢なので、スケール分散剤を浴槽水に毎日投入すると、濾過砂の固まり予防に繋がります。
・スケールが原因で起こるポンプ故障の防止。
・スケールによる配管のつまり防止。
・浴場にスケール汚れが付きにくくなるので掃除がラクになる。
・スケールが原因で起こる濾材の固まりを防止。
スケール防止剤には、
・リン酸ナトリウム
・アクリル酸ナトリウム
の2つが多く使われます。
温泉用スケール分散剤として販売されているものも、その2つのどちらかが主成分です。
なので温泉用スケール分散剤を購入するより、工業用として主成分であるリン酸ナトリウムやアクリル酸ナトリウムを購入た方がかなりお得なんですよね。
スケール分散剤の投入方法と投入場所
投入方法は、次亜塩素酸ナトリウムのように小さなポンプを使って配管から注入する方法と、お風呂から直接投入させる方法があります。
スケール分散剤の投入場所です。
最もオススメな投入場所は源泉ポンプの近くかその手前です。
源泉ポンプのつまりも防げますからね。
投入方法は、基本次亜塩素酸ナトリウム同じく小さなポンプを使用し、源泉ポンプ(井戸ポンプ)に連動させて注入させます。
この方法が最も効果的なのですが、薬注ポンプとタンクの用意、また取付工事に費用がかかります。
もし、
・費用を抑えて使いたい。
・試験的に試して良ければ設備を入れたい。
とお考えらなら直接温泉に投入しても使えます。
主な方法としては
・源泉タンクからの投入
・ヘアキャッチャーの投入
・直接湯船からの投入
の3つです。
手間がかからないのは直接湯船からの投入ですが、お客様の入浴していない時をねらって投入しないといけません。
その他2つは、お客様から気づかれることはありませんが多少手間がかかります。
でもそれらの方法は、源泉ポンプ、または源泉ポンプから浴槽までの配管内のスケール対策には効果がありません。
スケール分散剤を使うと、浴場内に水垢がつきにくくなるので掃除がラクになります。
もしすでに浴場が水垢で汚れているのなら、「洗い鬼三兄弟」をお試しください!
最後に
いかがでしたでしょうか?
私がなんで循環濾過装置の管理についてお話ができるかというと、若い頃に実際に浴場施設の塩素管理や濾材交換、スケール分散剤の販売をしていたからです。
その時経験したことが、公衆浴場業の皆さまに少しでもお役に立てばと思いお話しさせていただきました。
過去にもレジオネラ菌対策についてだったり、露天風呂の掃除方法についてお話しさせていただいてますので、ご興味がございましらどうぞご覧ください!