重曹で洗濯ものの汚れが落ちやすくなるは嘘!洗濯での重曹の効果を徹底検証します!
「洗濯せっけんを使っているけど、汚れ落ちがイマイチ…」
「重曹を使うと洗濯物の汚れ落ちが良くなると聞いたけど、本当なの?」
今回は、そんな洗濯洗剤・洗濯石けんの汚れ落ちにお悩みの方々に向けた記事です♪
こんにちは、のぞみです♪
今回は「汚れを落として27年」掃除のプロフェッショナル 茂木さんから「洗濯せっけんと重曹の併用はアリか、ナシか」を教えて貰ったので、まとめてみました!
洗濯石けんの「クセ」や重曹の汚れ落ちの実証実験を、動画で分かりやすく、じっくりと観たい方は、こちらの茂木和哉(@motegikazuya)さんのYouTube動画へ!
サクサクッと結果だけを知りたい人はこちらの記事を参考にしてみてください!
目次から読みたいところに飛べます♪
せっけんで汚れが落ちるメカニズム
せっけんは油とよくなじむ成分・水とよくなじむ成分の2つを持っています。
洋服に付く汚れは油の成分を含むため、水を弾いてしまい「水だけで洗っても汚れが落ちない」となります。
しかし、せっけんは、油と水に馴染む二つの成分があることで、汚れを浮き上がらせて、水だけでは落ちない汚れを落ちやすくしてくれます。
油と水を仲立ちしてくれる石けんの成分のことを「界面活性剤」といいます!
界面活性剤が、最大の効果を発揮するためには、石けんの泡立ちが重要になります。
石けん洗剤よりも合成洗剤が人気の理由
洗濯には合成洗剤を使っているという方がほとんどで、石けん洗剤を使っているという人はごく少数だと思います。
石けん洗剤よりも合成洗剤が人気の理由は、石けんを洗濯に使うにはクセがあり、使いづらいから…!
赤ちゃんでも使えるような、肌に優しい成分で設計されているにも関わらず、洗濯でせっけん洗剤があまり使われないのはなぜでしょうか?
ここからは、そんな石けん洗剤の「クセ」について、ご紹介します。
石けんが水で薄まると汚れ落ちが悪くなる
水で石けんの成分が薄まると、その分、汚れの油と馴染む成分が少なくなるので、汚れ落ちが悪くなります!
石けんが中和されると汚れが落ちなくなる
石けんは全てアルカリ性なので、酸性のものと混ぜると中和されます。
つまり、水が酸性に傾いた状態だと、アルカリ性の石けんは中和され、泡立ちが悪くなってしまい、汚れが落ちづらくなります…
人間の皮脂は弱酸性なので、脱いだ服を洗うと洗濯水はどうしても酸性に傾いてしまい、石けんは効力を発揮できません!
石けんは水道水に含まれる硬度分に影響されやすい
石けんは硬水ほど、汚れを落とす働きが悪くなります…
一方で、軟水であるほど、汚れを落としやすくなります。
硬水とは、マグネシウムやカルシウムなど金属イオンの不純物を含む水のこと。
この不純物が石けんの働きを妨げるため、硬水では石けんの洗浄力が落ちてしまうのです!
石けんと重曹を混ぜると汚れ落ちが良くなる!?
実際に重曹の裏面の説明文に「従来お使いの洗濯洗剤に、重曹を20~30g入れると汚れ落ちがアップする」と記載があります!
重曹とせっけんを入れると、せっけんの洗浄力が高くなるとよく聞きますが、その理由は2つあります。
重曹がアルカリ性だから汚れ落ちが良くなる
せっけんはアルカリ性のため、酸性のもので中和されてしまうと、泡立ちが悪くなって洗浄力が落ちてしっまいます。
重曹はアルカリ性なので、重曹を洗濯水に溶かすことで、水をアルカリ性に傾かせることができますよね♪
その結果、洗濯せっけんを酸性に傾ける要素がなくなるので、洗濯せっけんが汚れを落としやすくなります!
重曹にはキレート効果があるから汚れ落ちが良くなる
キレート効果とは、簡単に言うと、金属イオンを別の物質に変えてしまい、金属イオン特有の性質をなくしてしまうことです。
洗濯せっけんは金属イオンを含んでいる水(硬水)では、洗浄力が低下します…!
つまり、キレート効果がある重曹を混ぜると洗濯せっけんの邪魔をする金属成分が少なくなる=洗濯せっけんの洗浄力がアップするということになります♪
検証実験:重曹で洗濯せっけんの汚れ落ちが良くなるのか
ここからは「重曹を入れると洗濯せっけんの汚れ落ちがアップするのか」実証実験をします♪
今回、使う洗濯せっけんは「arau(アラウ)」です♪
事前準備では、洗剤を入れる前の水のpH(6.8)と硬度(5~10)を測定しています。
検証実験①:洗濯水のpHの変化
- 300gの水が入ったコップを2つ準備する
- 目安に書かれている量の洗濯せっけんを水に溶かす(arauは0.5g)
- 1つのコップに重曹を入れる
- 重曹を入れた洗濯水と重曹を入れていない洗濯水でpHの数値を確認する
重曹を入れた洗濯水の方が、pHが高ければ、洗濯せっけんの洗浄力がアップしたことになる!
重曹を入れてpHの数値が上がっていれば、洗濯水がアルカリ性に傾いたということになります。
つまり、アルカリ性の水で洗浄力を発揮する洗濯せっけんの洗浄力がアップしたということになりますね♪
- 石けんを入れる前の水→pH6.8
- 重曹を入れてない石けん水→pH8.6
- 重曹を入れた石けん水→pH8.3
重曹を入れた方がpHが下がってしまいました…!
つまり、酸性になってしまったので、重曹を入れたら洗濯せっけんの洗浄力が落ちてしまったことになります。
検証結果:重曹を入れた方が汚れ落ちが悪くなる
重曹の裏面に書かれている説明文とは、真逆の結果になってしまいまいた…!
今回、重曹を入れてpHが下がってしまった(酸性になってしまった)ことには理由があります!
その理由は、重曹よりも洗濯せっけんの方がpHが高いからです。
arauの原液はpH10.1であるのに対して、重曹水はpH8.2でした!
つまり、使っている洗濯せっけんによっては、重曹を入れたらpHが下がる(=汚れ落ちが悪くなる)こともあるということです。
重曹よりもpHが低い洗濯せっけんなら洗浄力はアップ、重曹よりもpHが高い洗濯せっけんなら洗浄力がダウンするということになります!
検証実験②:洗濯水の硬度の変化
- 300gの水が入ったコップを2つ準備する
- 目安に書かれている量の洗濯せっけんを水に溶かす(arauは0.5g)
- 1つのコップに重曹を入れる
- 重曹を入れた洗濯水と重曹を入れていない洗濯水で硬度を確認する
重曹を入れた洗濯水の方が、硬度が低ければ、洗濯せっけんの洗浄力がアップしたことになる!
硬水には、洗濯せっけんの働きを邪魔する金属の成分が多く含まれます。
実験で重曹が洗濯水の硬度を下げることができれば、重曹のお陰で洗濯せっけんの洗浄力がアップしたということになります!
重曹を入れた洗濯水と重曹を入れていない洗濯水の硬度を比べてみます。
硬度の試薬を入れると、硬度成分が高いほど赤く色付きます!
重曹を入れた洗濯水と重曹を入れていない洗濯水で、色の違いはほとんど出ませんでした。
検証結果:重曹を入れても汚れ落ちはほとんど変わらない
今回、重曹を入れても硬度にほとんど変化がなかったことには、理由があります!
その理由は、日本ではほとんどの水道水が軟水だから。
水道水の硬度は、日本の水質基準で定められているため、水道から硬水が出る状況自体がまれです。
日本の水道水には、そもそも洗濯せっけんの洗浄力をダウンさせる金属成分が含まれていないので、重曹を入れても洗浄力アップはあまり期待できません…!
検証実験③:重曹にキレート効果はあるのか
2つの検証実験から「洗濯石けんと重曹を混ぜても洗浄力のアップは期待できない」ということが分かりました。
ここからはオマケの検証実験として、市販の硬水を用いて、重曹にキレート(硬度を下げる)効果はあるのか検証します♪
- 300gの硬水が入ったコップを2つ準備する
- 1つのコップに重曹を入れる(今回は5g)
- 重曹を入れた洗濯水と重曹を入れていない洗濯水で硬度を確認する
今回の実験では、分かりやすくするため、水道水ではなくコントレックスという硬水を使って、重曹にキレート効果があるか確かめます。
重曹を入れていない硬水の方が、赤く色付けば、重曹にキレート効果がある!
重曹を入れなかった方がより赤くなっているので、重曹にはキレート効果があるということになりますね♪
しかし、30Lの洗濯水に対して、500gの重曹を入れたということになるので、重曹のキレート効果を発揮させるためには、現実的ではない量の重曹を使わなければならないことが分かります!
まとめ:重曹・洗濯せっけんの併用はナシ!
今回の実証実験でわかったことは3つです!
- 使っている洗濯せっけんのpHが高いものだと、重曹を混ぜると洗濯せっけんの洗浄力がダウンしてしまう(pHが低い洗濯洗剤であれば、洗浄力アップの可能性がある)
- 日本の水道水はほとんど軟水なので、重曹のキレート効果による洗濯せっけんの洗浄力アップは期待できない(外国や日本の一部地域においては、洗浄力アップの可能性がある)
- 重曹にはキレート効果があるが、その効果を発揮するためには現実的ではない量(30Lの洗濯水に対して500gの重曹)が必要
この結果から、重曹と洗濯水の併用は、洗浄力の面でもコスパの面でもナシということがわかりますね!
蛇足ですが、私もYoutubeで「のぞみのお掃除講座」というものをやっています。
お掃除にまつわる色々な情報を分かりやすくお届けしているので、もぜひ遊びに来てくださいね♪