【徹底解説】台所洗剤「ミスターQ」とはどんな洗剤?
こんにちは!のぞみです。
今回も茂木和哉さんと一緒に「茂木和哉のお掃除お悩み相談室」に届いたお悩みをご紹介していきます!
ちなみに参考にしたのは、こちらの茂木和哉(@motegikazuya)さんのYouTube動画です。
洗剤選びの優先度をつけよう
それでは早速、届いているご相談を紹介していきます。
『「ミスターQ」という台所用ソフトタイプ洗剤を購入しました。
成分は
・界面活性剤(35%)
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・洗浄補助剤(硫酸塩)
りん酸分は配合していないと表記ありです。
スローライフや環境に配慮したお店などで
取り扱いがあるので安全なのかなと思い購入しました。
私自身、家事の効率化より安全性のが気になるので
その視点から茂木さんの意見を聞かせてください。』
とのことです。
「ミスターQ」とはおそらくこの洗剤のことですね。
吸盤でキッチンのシンクにつけて、スポンジでこすり取って使うようです。珍しいですね!
茂木さん、こちらの質問についていかがでしょうか?
まずこちらのご質問者の方は、しっかりと自分の洗剤選びのポイントがわかっていらっしゃって、とても良いご質問ですね。
「家事の効率化よりも安全性の方が気になる」というところです。
家事の効率化よりも安全性重視、としっかりと選ぶ基準をもっていらっしゃるので、どんな洗剤が良いのかとてもアドバイスがしやすいです。
ご質問者さんは、安全性重視のようですが、わたしは安心性よりも家事のラクさを求めています。
1番目に効率化、2番目に安心性、3番目に価格、といった順番ですね。
みなさんそれぞれ生活環境が異なりますので、それぞれの基準があって良いと思います。
例えば小さなお子さんがいらっしゃるのであれば、安全性が高いものを。
かといってお子さんが大きくなってお金がかかるようになったら、とにかく節約のできる安いものを、となるのではないでしょうか。
我が家は共働きでして、わたしも少し前まではよく出張にいっていました。
わたしが出張で家にいない間でも、妻になるべく掃除の負担をかけないように、と楽さを重視していました。
ご質問者の方は安全性が一番。茂木さんは楽さ(効率化)が一番優先、とのことですね!
みなさんも是非、洗剤選びの優先度を決めてみてください。
そうすると洗剤選びだけではなくお掃除道具選びのときも、選ぶ基準がぴしっと決まっていくかと思います。
「ミスターQ」は従来の食器洗い洗剤とは全く違う!
茂木さんからみて、「ミスターQ」はどんな洗剤でしょうか?
「ミスターQ」調べました。すごくいい商品ですね。
洗剤を作る立場からみても、素晴らしい商品です。
普通台所洗剤といえば、花王やライオン、P&Gなどの液体洗剤をイメージしますよね。
容器に液体が入っていて、スポンジにぴゅーっとだして食器を洗う、というのが常識です。
まさしく台所洗剤といえば、ですね。
ですが「ミスターQ」はその従来の台所洗剤のイメージを一新しています。
洗剤開発者であれば誰しも「洗剤革命を起こしたい!」という願望を持っていると思います。
しかし実際問題、そんな洗剤革命なんて起こせません。
台所洗剤で、合成界面活性剤以外もの、洗い方もこれまでと違うもの……と考えても、なかなか出てこないんですよ。
これまでの合成界面活性剤にかわるもの、となると、わたしの発想力では液体せっけんくらいしか思いつきませんでした。
どんな方が開発したのか、気になりますね~!
ちなみに「ミスターQ」は合成界面活性剤なのですが、洗い方がユニークです。
シンクに吸盤でくっつけて、固形状になっている洗剤をスポンジでさっと取って洗う。
この楽さ、そしてアイデア……本当にすばらしいです。
さらに驚きなのが……固形なのでせっけんなのかと思いきや、合成洗剤なんです。
固形の合成洗剤はたいてい粉状や液体です。
白くて固形なのでせっけんなのかと思ったのですが、せっけんではないんですね!
「ミスターQ」は合成洗剤なのに固形。
もしわたしが、吸盤でシンクにつける洗剤をつくるとしたら、まずせっけんをベースに固形化することを考えますね。
そしてほかに界面活性剤などほかのものを混ぜてみよう、と考えます。
ですが「ミスターQ」は合成洗剤をベースに固形化されています。
ずいぶんマニアックな話になってしまいましたが……「ミスターQ」のアイデアは本当に素晴らしいと思います。
これまでの食器洗い洗剤のイメージとは全く違うんですね。
含まれている界面活性剤はどんなもの?
ご質問に戻りましょう。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが35%含まれているとのことですが、これは界面活性剤の中では安全性が高いものではありません。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、アニオン界面活性剤というグループに入ります。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムは「LAS」とも呼ばれますね。
えーと……ABSという界面活性剤がよく使われていた頃、ABSの安全性が示唆され、かわりに使われたのが「LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)」でしたね。
LASの安全性も問題となり、次に新しくでたのがラウリル硫酸ナトリウム……でしたっけ?
そうですね。
界面活性剤については、こちらの動画で詳しく説明しているので、気になる方は是非ご覧ください。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム自体は昔からあるものです。
昔は一般の食器洗い洗剤でもよく使われていましたが、いまでも使われているのはママレモンくらいですかね。
ママレモンといえば、洗浄力が高いことで有名ですね。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)は、洗濯洗剤やお風呂用洗剤など直接手に売れる機会が少ないものにはまだ使われています。
あとは業務用台所用洗剤には、いまでも使われていますね。
業務用洗剤だと、洗剤選びの基準は、洗浄力と価格。
安全性は最後になりますからね。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)は、安くて洗浄力が高いのが特徴です。
飲食店のなかでも、中華料理屋さんやラーメン屋さん、焼肉屋さんなど油っぽい料理を扱う場所では、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)の入った洗剤は愛用されています。
だからお皿洗いをするパートやアルバイトをされている方は手荒れがしやすいんですね。
そうですね。
安全性の基準から洗剤を選ぶとすれば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)は外した方がいい成分です。
ただ、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)の入った洗剤が悪い、という意味ではありませんよ。
どんな成分や界面活性剤でも、メリットとデメリットがあります。
たしかに直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)は肌への刺激が強いのですが、洗浄力がものすごく高く、しかも価格が安い。
ご質問者さんのように安全性を重視する方にとっては、デメリットかもしれませんが、そうでない方もいらっしゃると思います。
たしかに。ゴム手袋をつけて食器洗いをするから、多少刺激が強くても気にしない!という方もいらっしゃるかもしれませんしね。そしてなにより安価なのは嬉しいです!
硫酸塩とはどんな成分?
お手紙によると、「ミスターQ」の成分には、洗浄補助剤として硫酸塩が含まれているとのことでしたね。 硫酸と聞くと危険なものに思えるのですが……これはどんなものなのでしょうか?
硫酸塩はとても安全性が高いものです。
入浴剤にもよく使用されていますし、わたしも粉末の洗剤を作るときに使っています。
「ミスターQ」では、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)と硫酸塩とを混ぜて、固形化しているのだと思います。
そして硫酸塩は汚れを落とす成分というよりは、バランスをとったり工程剤として使われますね。
洗浄成分だけで作ると、価格が高くなってしまうので、液体洗剤だったら水を入れて薄めて原価を調整します。
ただ粉末洗剤は水を入れるわけにはいかないので、硫酸塩を増量剤として使っています。
なるほど、硫酸塩にはそんな役割もあるんですね!
リン酸が含まれていないとはどういう意味?
あと「ミスターQ」には「りん酸分は配合していない」とパッケージに記載があるようですね。これについてはいかがでしょうか?
いまの時代、リンを含む洗剤はほとんどなくなりましたので、それほど珍しいことではないと思います。
リンが問題となったのは、1970年代から1980年代にかけて、琵琶湖の水質汚染が問題になったあたりですね。
そのあたりからジワジワと、リンを含む洗剤はなくなりました。
それにいまは生活排水は直接排水されずに下水溝を通り、きちんと処理されてから排水されています。
有リン洗剤か無リン洗剤か?は、それほど考えなくてもよいものになっています。
その甲斐もあってか、リンを含まない、ということをわざわざパッケージにかいている洗剤はほとんどないですね。
洗剤を作る方や、下水処理をされる方の努力のたまものですね……!
まとめ
ここまでのお話をまとめましょう。
「ミスターQ」には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)が含まれているため、洗浄力を求めている方にはオススメです。
しかし今回のご質問者さんのように安全性を求めている方や、手肌が弱い方などには残念ながらオススメできません。
あとは、シンクに吸盤でつけてスポンジでさっとこする。
この使い方は、わたしのように手軽さを重視する方にはよいのではないでしょうか。
わたしはすごくいい洗剤だと思いますよ!
常識にとらわれずに新しい洗剤をつくる、このアイデアはとても好きです。
みなさんも洗剤選びの基準をつくって、ぜひピッタリの洗剤を見つけてくださいね~!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
それでは、またお会いしましょう!